注:表題は<残酷な>という文言以外、本文とは何の関係もありません。あしからず。
(×印が十字架みたいでそれっぽいかしら?)


県美展の審査会の様子についてお話しておきたいと思います。


2007/8/7に、行われた第1・2次審査で、出品作品382点の中から125点の入選作を決定しました。詳しい内容は、県美展会場で配られるパンフレット13ページに書かれています。
方法は、次の通り。審査員の先生方には、○×の札を持っていただき、一点一点について、○×のどちらかの札を掲げていただきます。1次審査では、三人の審査員のうち、一人○を挙げれば通過。2次審査では、二つ以上○を掲げれば、入選が確定します。一人しかいない場合には、○を挙げた審査員と挙げなかった審査員との間で協議され、入選にするかどうかを決めます。

この審査は公開で行われています(だから、こうしてブログで様子を説明することができるのです)。
審査を傍聴しに来られている方の多くは、作品を出品されている作者の方々です。自分が苦労して作った労作にたいして、[×]を掲げられて、選外の作品として会場から撤去されていくのを見守るわけですから、非常に残酷な話です。
しかし、この審査会でつらいのは、作者の方々だけではありません。審査する方もつらいのです。
今年の審査会で、事務局の進行係と審査員の先生との間でこんな内容のやりとりがありました。
審:「×はどうしてもださければダメなの?」
事:「はい。○か×かどちらかをお願いします」
審:「○はだせないけど、×も出したくないんだけど…」
事:「○か×のどちらかをだしていただくようお願いします」
審:「…それは、つらいなぁ…」


×を出すのがつらいのは、作者が見ているからだけではありません。
決してダメな作品。つまらない作品ではないんだけど…。という作品を、○×で分別してしまうのは、審査員にとってもつらいことなのです。それも、1,2回見ただけで、判断を下さなければならないわけですから。

しかし、コンクールとは、そういった苦しい思いはどうしても避けられません。展示されるかされないか、その作品に与えられる待遇には、雲泥の格差があるのですから。限られた時間の中で、いずれかの段階で、残酷な選択をしなければならないのです。

しかし、惜しくも入選にならなかった作品の中にも、審査員の先生方が、エールを送っていた作品がたくさんあったことも知っておいていただきたいのです。
入選には至らなかったが、こういった作品を作り続けていってほしい。もっとがんばって欲しい、といったコメントを耳にしました。

惜しくも選外となったからといって、自分の作品はダメなんだということではないのです。
場合によっては、
「今年の審査員は見る目がなかったな」
と思っていただいてもかまわないのです。

「来年は見返してやる」
と、さらなる創作に取り組んでいただきたいのです。

この県美展は、審査員は年ごとに人がかわっていきます。審査員の基準はひとりひとり違っています。従って毎年どんな作品が入選するのか見当つかないところがあります。受験勉強のような明確な「傾向と対策」はないように思います。今年通らなくても来年は通るかもしれませんし、今年通っても来年通るとはかぎりません。
来年の県美展でも、意欲作をどしどし持ち込んできて、審査員をうならせていただきたいと願っております。