ウィーンはカフェの街として有名です。展覧会の会期中、美術館にもウィーン風のカフェが出現していますよ。ここでは、ウィーンのカフェにまつわるお話をご紹介します。
コーヒー伝説
1683年、20万を超えるトルコ軍がウィーンを包囲。あわや陥落、というときにようやく援軍がかけつけ、トルコ軍は逃げ出しました。そのあとに残されていた、緑色の豆…。ウィーンの人々は、これはラクダのエサだろう、ドナウ川に捨てるしかない、と思いました。そこに現れたのがコルツィツキーという男。これぞトルコ人の愛するコーヒーだと知っていた彼は、豆をもらいうけて、カフェを開きました。これが、ウィーン・カフェの始まり。
ところがこれは伝説で、実際にはトルコ人使節との交流などによって、1660年代には、ウィーンの貴族たちのあいだでコーヒーを飲む習慣は広まりつつあったそうです。ウィーンは、ヨーロッパの東のはしっこにある都で、トルコにも近く、多数の国の人々があつまる国際都市だったのです。
本当のウィーンのカフェ第一号は、ヨハネス・ディオダードが1685年に開きました。ちなみに、ヨーロッパで初めてカフェが開店したのはヴェネチアで、1645年のこと。
ウィーンのコーヒー
まずは、コーヒーに生クリームをのせた、おなじみのウィンナーコーヒー。これは「ウィーン風のコーヒー」という意味ですが、本場ウィーンのカフェでは通じません。あちらでは「アインシュペンナー」と注文しましょう。
それから、オレンジリキュールを入れ、生クリームをのせた濃いコーヒー「マリア・テレジア」。こちらはぜいたくな気分浸りたいときにどうぞ。
ウィーンのケーキ
ウィーンを代表するケーキは「ザッハートルテ」。1832年、当時のオーストリア宰相メッテルニヒの命令で、なんとまだ見習いだった16歳のフランツ・ザッハーが作ったそうです。
また、ウィーンのお菓子といえば「アプフェルシュトゥルーデル」も有名です。「アプフェル」はりんご、「シュトゥルーデル」は「うずまき」という意味。うすいパイ皮に包まれていて、りんごがぎっしり詰まっています。日本のアップルパイとはひと味違うので、ぜひ一度お試しを。
©The Yamaguchi Prefectural Museum of Art