山口県立美術館|山口県山口市

秋田おばこ〈秋田〉

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木村 伊兵衛
《秋田おばこ〈秋田〉》

  • 1953(昭和28)年
  • ゼラチン・シルヴァー・プリント
画像:秋田おばこ〈秋田〉

すげ笠を被り絣の着物に身を包んだ女性を、アップでとらえた一枚。農村の女性だとわかる要素を最低限残したシンプルな構図が、モデルの目鼻立ちの美を最大限に引き出しています。女性のポートレートに定評のあった木村の真骨頂と言えるでしょう。
「おばこ」とは、東北地方の言葉で若い女性を意味します。実際モデルを務めたのは、野良着姿で美を競う第1回全県おばこコンクール(1952年11月)に入賞した地元の高校生。コンクールの際に地元のアマチュア写真家が撮影した写真が『アサヒカメラ』に掲載されると、それを見た木村が彼女を撮りたいと希望し、翌年の8月に撮影が実現したのです。奇しくも、木村は1952年6月に開催された秋田県総合美術展覧会写真部門の審査員として初めて秋田を訪れたばかり。以後20年の間に21回同県を訪れ、主に農村を取材し撮影された「秋田」シリーズは、彼のライフワークとも言うべき代表作となりました。

作家プロフィール

木村 伊兵衛【きむら いへえ】

生没年 1901~1974(明治34年~昭和49年)

東京生まれ。写真館経営のあと、1930年花王石鹸広告部の嘱託になります。1932年、野島康三らと『光画』を発刊。1933年、名取洋之助らと日本工房を設立。その後、中央工房、東方社、サン・ニュース・フォトスなどに在職。ライカを愛用し、特にスナップ写真を得意としましたが、報道・宣伝写真、ポートレートや舞台写真などのジャンルでも活躍、戦後は土門拳と共に日本写真界のリーダー的存在となりました。

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