山口県立美術館|山口県山口市

旅芸人

  1. ホーム
  2. コレクションについて
  3. コレクション・ハイライト
  4. 旅芸人

宮崎 進
《旅芸人》

  • 不詳
  • 油彩/カンヴァス
画像:旅芸人

薄暗い板の間で着物をはだけ、顔から肩と胸元にかけて白粉を塗る日本髪の女性。寺社のお祭りや縁日などで行われていた「見世物小屋」の楽屋の様子でしょうか。天井から下がる布地と女性の腰巻の赤が、おどろおどろしい印象を与えています。 戦後、北海道や東方など日本の辺境を放浪していた宮崎は、旅芸人たちの生活のありさまを目の当たりにしていました。「小さな旅巡りの小屋で、裏方のそのまた助手などして、彼等の極く身近に暮らしていた」と回想しています。彼らの仲間思いの人情とたくましい生活力に宮崎は目をみはり、また、彼らの芝居に対する観客たちの生き生きとした反応にも注目しています。見世物小屋という娯楽が社会に根を張っていることを肌で感じた宮崎は、この《旅芸人》を含む、いわゆる旅芸人シリーズを描き、そのなかの《見世物芸人》(東京国立近代美術館蔵)で第10回安井賞を授賞しました。

作家プロフィール

宮崎 進【みやざ しん(本名すすむ)】

生没年 1922~2018(大正11年~平成30年)

山口県徳山市に生まれ、日本美術学校卒業し、応召。戦後4年間のシベリア抑留を経て、帰国後は光風会、日展で活躍します。1967年に第10回安井賞を受賞し、具象作家の地位を確立しました。その後渡欧、1981年に多摩美術大学教授に就任。作風は80年代から抽象性を帯びていき、90年代以降は麻布を貼り付けた大画面に直接描く作品を手掛けました。

一覧に戻る