山口県立美術館|山口県山口市

絞り

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永地 秀太
《絞り》

  • 1913(大正2)年
  • 油彩/カンヴァス
画像:絞り

1913年の第7回文部省美術展覧会に出品されたこの作品は、三等賞を受賞しました。当時は一等賞を出さない慣例でしたので、実質的には二等賞ということになります。
窓辺の籐椅子で寛いでいる女性を、明るい陽射しのなかで描いています。タイトルの「しぼり」とは、この女性が絞り染めの浴衣を着ていることに由来するものなのでしょう。
画面を見ると、絵具を盛り上げた力強いタッチで描かれていることに気づきます。それはあのオランダの画家ゴッホの画面を思わせます。ゴッホは大正時代初めころから白樺派の作家たちによって日本に紹介され、画壇に大きな影響を与えました。
この作品のようなタッチは、永地の他の時代の作品には見当たらないようです。サインも普通には見かけないような縦書きで、画面右上に入れられています。ちょうどこのころ、何か大きな刺激を受けて、新しい技法を試みたのではないか、と想像させるような作品です。

作家プロフィール

永地 秀太【ながとち ひでた】

生没年 1873~1942(明治6年~昭和17年)

山口県都濃郡末武北村(現・下松市)に生まれました。旧姓は有吉。明治初期に設立された洋画家団体の明治美術会が運営する教場で学びます。1902年の太平洋画会創立に関わり、1920年に渡欧、帰国後は東京高等工芸学校(現・千葉大学工学部)教授をつとめました。文展や帝展でも入線をかさね、画壇の重鎮として活躍しました。

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