山口県立美術館|山口県山口市

山水図

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雲谷 等顔
《山水図》

  • 安土桃山時代
  • 紙本墨画淡彩
画像:山水図

雲谷派の祖・等顔による代表作のひとつ。国内に残る等顔の山水図屛風では制作時期が最も早い例として知られます。両隻とも画面手前には樹木が生えた岩山と楼閣、そこへ向かう笠をかぶる人物とお供の童子を描いています。中ほどにはどっしりとした山、周囲には雲海がたなびき、湖には舟も行き来しています。遠くには山が奥へと連なる様子を墨と藍色でうっすらと描き、空間の広がりを表しています。
等顔は岩、楼閣、舟といった山水図を構成するモチーフを、雪舟《山水長巻》(国宝・毛利博物館蔵)から学びました。等顔は雪舟にならい、岩や樹木を濃い墨の線で力強く表す一方、光や霧などの自然現象を淡い墨で細やかに表しています。とくに左隻中央の山並みは、夕暮れ時、にわか雨が降った後のような、しっとりとした山肌の美しさが印象的です。またその右奥には月が浮かんでおり、空間だけではなく時間の経過をも感じさせ、観る者の想像力をかき立てる作品です。

作家プロフィール

雲谷等顔【うんこく とうがん】

生没年 1547-1618(天文16年~元和4年)

肥前国能古見(のごみ)(佐賀県鹿島市)の城主原直家の次男で、狩野永徳あるいは狩野松栄に師事したと伝わります。毛利輝元から雪舟《山水長巻》(国宝・毛利博物館蔵)と雪舟の画室雲谷庵を授かり、雪舟流を継ぐ雲谷派を創設。萩を拠点に京都・大徳寺や東福寺の襖絵制作も行い、法眼(ほうげん)に叙任。連歌、茶の湯を嗜み、輝元に御伽衆(おとぎしゅう)として重用されました。

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