山口県立美術館|山口県山口市

瀟湘八景図

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雲谷 等益
《瀟湘八景図》

  • 江戸時代 17世紀
  • 紙本墨画淡彩金泥
画像:瀟湘八景図

雲谷派2代・等益による山水図屛風の代表作のひとつ。垂直と水平を意識した構図と、ジグザグに横に伸びる松の枝、丸い岩など幾何学的なモチーフの形が特徴的です。等益は個性が強い雪舟の画法を、雲谷派の画家たちが代々継承しやすいように、わかりやすく整理して、すっきりとした画面を作りました。父等顔の山水図と比べると、均一な墨のグラデーションが美しく、霞のように金泥(金色の絵の具)を薄く引くなど装飾的な表現も加わっており、江戸時代初期の絵画に特有の明るさが感じられます。
瀟湘八景とは、中国湖南省の景勝地・洞庭湖周辺の8つの景観のこと。例えば、平沙落雁は「湖に雁の群れが降りてくる様子」、漁村夕照は「夕暮れ時の漁村の風景」など、中国北宋時代11世紀に生まれた8つの画題は日本でも好まれました。本図にはその画題を示すモチーフや場面が描かれ、鑑賞者が八景を連想して楽しむゲームのような仕掛けが盛り込まれています。

作家プロフィール

雲谷 等益【うんこく とうえき】

生没年 1591 – 1644(天正19年~寛永21年)

雲谷等顔の次男として生まれ、兄等屋の早世により雲谷宗家を継ぎ、雲谷派2代目として「雪舟四代」を名乗りました。萩を拠点に京都・大徳寺内の諸塔頭の襖絵制作も行い、寛永3年(1626)法橋に叙任。雪舟の画法を流派の様式として整理し、雲谷派の流派体制を確立。江戸時代初期に特有の平明で整然とした作風が特徴です。

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